相馬地方の平和と安寧を祈る神事として、重要無形民俗文化財である野馬追行事を執行する相馬野馬追執行委員会は、ファンづくりの一環としてTwitterアカウントを運用されています。熱気あふれる祭典の熱量をどのようにしてソーシャルメディアで伝えるか、様々な工夫と施策の進め方について、中の人にお伺いしました。
運用状況
──今運用しているSNSを教えてください。
Twitter、Facebook、Instagram、YouTube です。
InstagramとFacebookは連携することで1度に両方で投稿することができるのですが、更新頻度としては少ないです。
今はTwitterをメインに据えて、一番リアルタイムに更新しています。
同時期にアカウントは作っていたものの、個人的に知見があったのがFacebookだったこともあり最初の2年前ぐらいは Facebookをメインに運用していました。
ただ、思うように情報が広がっていかずに苦戦しました。
そんな時に書籍やセミナーなどでTwitterでは軽いタッチの情報発信や積極的に周囲とコミュニケーションする運用方法があると知り、こちらで発信していく方が情報の広がり方として理想的だと感じたので徐々にメインを切り替えていきました。
──実際に力を入れてみて、Twitterの方が情報が拡散されやすいという実感はありましたか?
そうですね。
Facebookではいいね数などで投稿への反応を数値としてみることはできるものの、拡散というのは実感できていませんでした。
一方でTwitterだとリツイート機能がよく使われていますし、フォロワーが増えていくのに比例して実感も増していきました。
コロナ禍をきっかけに運用を開始。SNSで「ファンづくり」
──SNSの運用を始めたのはいつ頃ですか?
アカウント作ったのが2020年の6月なので2年ちょっと前ですね。
ちょうど2年前ごろは新型コロナウイルスが流行して、相馬野馬追を含めて行事そのものができるかできないかというところだったので、その辺の情報発信をどうしようかと思った時にSNSで試しにやってみようかということになりました。
アカウントを作った時は「クラウドファンディングをする」という目的があって、期間などクラウドファンディングに関する情報発信をするためにアカウント運用をしていました。
現在はファン作りがメインです。
相馬野馬追は知名度があまり高くない行事なので、とにかくまず知ってもらうことを目的にしています。
運用開始した当初はいわゆる「役所の情報発信」という感じで堅めの情報発信だったのですが、Twitterをメインにしていくに従って「公式アカウントとしての発信」を模索するようになりました。
──ファン作りや知名度向上はどういった指標で確認していますか?
やっぱりフォロワーの数ですかね。
あとは運用し続けてきて一番感じることとして、特に有益な情報発信ではない投稿だったり、写真1枚の投稿などに対しても一定数の数のいいねがつくようになった時に成果を実感します。
SocialDogなら成果がグラフで一目瞭然。Twitterアナリティクスにはない指標も充実
──SocialDog導入の決め手はなんでしたか?
ビジュアルで決めました。
発信方法を変えて担当としては情報が広がっていっているという実感はあるものの、上司や関係者にそれが伝わらずに「あいつ何やってるの」と言われてしまうことが怖かったんです。
そこで、ちゃんとフォロワー数などの推移をきちんとグラフ化して成果が一目で分かるような報告資料を作りたくて。
元々はTwitterが公式に提供しているアナリティクスを使っていたのですが、アナリティクスではフォロー解除した人の数がわからないので正確なフォロワー数の増加の推移がわかりませんでした。
ということで「まずはしっかり数値を管理できるようにしたい」さらに言えばそれが「ビジュアル的にわかりやすいものであって欲しい」ということでSocialDogにたどり着きました。
──導入してみてどうでしたか?
数字の細かさやビジュアル部分はSocialDogだけで事足りると感じました。
伸び続けていますという報告はきちんとできています。
そのおかげか、好きなように運用していても怒られたりはしていないです(笑)。
成果が見えれば可能性も広がる?自由な運用でフォロワー数が2倍以上に
ビジュアライズされた成果によってやれることの幅が広がる
──導入後に起きた変化はありましたか?
成果が示せることによって「怒られない範囲」というのがどんどん広がって、いろんなところに手を出しやすくなったなというのは感じています。
例えば「中の人感」を前面に出した運用方法もそうですし、キャンペーンもそうですね。
おそらく、成果を示しづらい環境の中でそれをやってしまうと「なにやってんの」と思われてしまうので、当事者以外に対しても運用の成果を分かりやすく示すことができるのは色んなことを試していくにあたって良いことかなと本当に思いますね。
──できるようになったことについて具体的に教えてください。
いわゆる「中の人」を前面に出したフランクな運用やキャンペーンの実施ですね。
運用開始当初、同じような伝統行事の主催団体がどういうツイートをしているのかを拝見したのですが、私が確認した範囲ではTwitterの特性を活かして情報を広げられているところが少なく、伝統の長さのアピールでは情報を拡散させていくのが難しいのではないかと感じました。
民間企業の企業公式アカウントで行われているような、なるべく軽いタッチで発信をして日頃からファンやそれ以外の人にも絡んでいくみたいな発信の仕方の方が自分の理想とする情報の拡散に近いと感じていましたし、むしろ伝統のあるものを新しい手法で発信することによるギャップがウケるのではないかと思って「相馬野馬追執行委員会」でもなるべく軽いタッチで発信をしていくようにしています。
そのために、Twitterで発信していく時の言葉遣いや雰囲気づくりを日々工夫しています。
役所の情報発信に対して「おはようございます」とか、返事をする人って少ないと思うんです。
相馬野馬追執行委員会では、気軽に挨拶したり疑問を聞けるような、何言っても許されると思ってもらえるような雰囲気のアカウントでいたいと思っています。
──キャンペーンはどういったきっかけで始めたのですか?
元々、相馬野馬追のような侍・騎馬武者というコンテンツ自体の強さには実感があったのですが、一方で侍や馬などにまったく興味のない方々にどうやって野馬追を知ってもらって興味をもってもらうかは手探りでした。
そこで、認知拡大施策の一環として全然関係ないジャンルの企業さんとのコラボキャンペーンを始めたんです。
過去には「ひと振り3役味塩こしょう」の株式会社ダイショーさんや、”DAKE JA NAI”の帝人株式会社さんとコラボしてもらいました。
SocialDogを使うとインプレッションが伸びやすい時間帯がわかるのが良いですね。
また、キャンペーンをする時にはキーワード検索結果をcsvにしてダウンロードすることで、応募者のチェック漏れが起こりづらくなったと思います。
特に今年は4月~6月と7月の野馬追本番に向けて大手さんと立て続けにコラボする計画を立てていたおかげで、2022年4月ごろに6000人弱だったフォロワーが約4ヶ月で倍程度になりました。
すでにいくつかの会社さんにお声がけしていて、今後もコラボキャンペーンを行っていきたいと思っています。
さらにリアルなコミュニケーションを目指して
──これからやっていきたいことはありますか?
ツイートのみではできることが限られていると思うので、Twitterのスペース機能やYouTubeを使って直接ファンやフォロワーの方々の質問にリアルタイムで答えたり、よりリアルなやりとりをしていきたいと思っています。
繋がりの強化もそうですけどフォロワーが何を求めているのかを知りたくて。
普段は写真を多めで投稿してますけど「もっと動画でみたい」とか「リアルタイム配信して欲しい」とか、そういう意見があるかもしれない。
そういう声をしっかりきいて、できることからやっていきたいと思っています。